三日月の雫
遼太郎の怒り。
僕は遼太郎に詰め寄る足を止め、その場に座り込んだ。
「柚羽さんが来るって分かってんのに、姉さんとヤってたのかよ!」
それは違う。
でも、柚羽を思う一方でかんなを抱いていたことは事実だ。
状況は違えど否定することもできず、僕は何も言わなかった。
「天秤にかけてんじゃねぇよ!どっちかにしろよ!」
「………」
「姉さんを選ぶんなら柚羽さんに二度と会うな!柚羽さんを好きなら姉さんとヤったりすんなよ!」
「……そうだよな」
落胆する僕の前に遼太郎がガクリと膝を折った。
真っ当なことを言っている。
だけど、それができない状況だということを、遼太郎は分かっていた。