三日月の雫

「……ごめん、永輝くん」

「いや、いいよ。分かってるから」



謝る遼太郎の髪の毛をクシャクシャと丸めるようにして撫でる。

どこにも向けることのできない、怒りと苛立ち。

そして、絶望と無情。



「明日で、柚羽とは最後にするから」



静かにそう言う僕の言葉に、遼太郎は無言で頷いた。

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