三日月の雫

時間が過ぎてもなお、遼太郎の中では納得がいかないらしく。

時折、皮肉たっぷりに僕とかんなのことを突っ込んでくる。



「そうだよ。ずっとずっと一緒にいるんだよ」



僕もまた、やけくそになって、いつもそう答えていた。


答えた後の虚しさ。

痛み出す胸。

柚羽の笑顔。


後になって押し寄せてくるいろんな感情。

涙が出そうになるほど、腹立たしい運命。


いろんな思いで気が狂いそうになるのに、僕は、遼太郎に対して「二度と口にするな」とは言わなかった。



――柚羽。

出会った時に、大学1年だった君。

春が来て2年生になったね。

僕たちが出会ったあの店で、今もまだ頑張っているのか?

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