三日月の雫
僕はUターンしてコンビニの駐車場へと車を乗り入れた。
小雨に身体を濡らされながら、店へと駆け寄る。
出入り口のドアに額を押し付けるようにして中を覗くと、そこは何一つない、ガランとしたただの空間となっていた。
――閉店、したんだ……。
柚羽と出会った場所。
すべてが、ここから始まった。
僕と柚羽にとって、大切な思い出の場所。
それが今では、ただの抜け殻と化していた。
閉店したことは会社側の都合で、仕方のないことだけど。
思い出の場所がこんなにもあっさりとなくなってしまうのは辛かった。
まるで、僕と柚羽は、本当に縁がなかったのだと言われているようで……。