三日月の雫
・違う居場所・
いっこうに明ける気配のない梅雨空。
夜、空に星が輝いているのを見ると、明日こそは晴れると心が躍る。
でも、朝になれば、昨日の星空はなんだったんだ?と怒りをぶつけたくなるほどの雨模様。
しとしと降る雨をずっと眺めていると、その怒りもやがて諦めへと変わる。
「……やっぱ雨だよなぁ」
その日の朝も、やっぱり雨だった。
今日は仕事が休みだったから、晴れることを願っていたのに。
雨の降りしきる休みの日。
また今日も、雨嫌いのかんなと部屋で1日中ダラダラと過ごすことになる。
時計を見ると、もうすぐ8時になろうとしていた。
そろそろかんなが来る頃だ。
僕は適当な服に着替えると首から提げたネックレスを外し、ズボンのポケットに押し込んだ。