三日月の雫
・再会・
――柚羽。
君は僕がこんな姿になってしまったこと、もう知っているのかな。
僕が今、君のそばに行って思いを伝えても、君に僕の姿や声は届かないんだろうね。
「柚羽。オレも君のこと、好きだったから」
声に出して、そう伝える。
今となりにいるその男と幸せになれますように。
心の底から、そう願った。
男の肩越しに見え隠れしていた柚羽と、一瞬、目が合う。
……そんな気がしただけかと思ったけれど、柚羽は僕の方をじっと見ていた。
「……永輝?」
こんなにも騒がしい国道なのに。
不思議なことに、柚羽の声ははっきりと聞こえた。