三日月の雫
抱き合う僕たちを見て、柚羽と一緒にいた男はわっとその場に泣き崩れた。
「永輝。晶くんよ」
柚羽が紹介する。
晶という男に、僕は「こんばんは」と声をかける。
晶は涙でぐしゃぐしゃになった顔を上げると、嗚咽を漏らしながら口を開いた。
「……ずっと、探していたんです。でも、永輝さん、死んでいて……」
僕が死んだことを、晶も、そして柚羽も知っていたのか。
そして柚羽は、僕があのアパートを去ってかんなの元に行ったあと、僕のことを探していたんだ。
唯一の連絡手段だった携帯を解約してしまったから…。
「……柚羽さんも……。死んじゃって…」
続けて語られる晶の話に、僕は柚羽を少し引き離し、涙を浮かべる彼女の顔を見つめた。