三日月の雫
「ありがとうだなんて、そんな……」
死んだ者にだけ分かる、時間の経過。
僕はもうすぐ自分が、行くべきところへ行く時がきたのだと直感した。
そして、柚羽も……。
「晶くん、ありがとうね」
そう晶に告げると、僕の服をギュッと握り締めた。
もう二度と、離れ離れにならないように。
寄り添う僕たちを、目が眩むほどの大量の光が包み込んだ。
これから僕たちはどうなるのだろう。
正直、怖かった。
でも。
「……永輝」
今は、君がそばにいるから、大丈夫。