三日月の雫
最終章
天に召された僕たち。
周りはただ、真っ白な雲が続くだけだった。
その真ん中で、僕たちはぽつんと座り込んで、夢中になって話をしていた。
「はい、どうぞ」
柚羽が差し出した灰皿。
この場所にあるということは、この灰皿も僕たちと同じ運命を辿ったのだと分かった。
「柚羽。転落したって……」
「…うん」
「かんなが関係してる?」
「……灰皿がね、ベランダから落ちそうになって。それを取ろうとしたら、あたしも一緒に落ちちゃった。それだけよ」
かんなのことを口にしなかったけれど、僕にはだいたい予想がついた。
おそらく、かんなが灰皿を見つけ。
逆上して、灰皿をベランダから落とそうとしたのだろう。