三日月の雫
切ないような、懐かしいような、安心できるような……。
とにかく、いろんな感情が一気に押し寄せてくるような感じだった。
自己紹介も終わり、仕事を始めると同時に我に返る。
さっきの妙な気持ちから解放された瞬間でもあった。
……何だったんだ、今の。
自分でも理解できない感情。
僕は戸惑いさえも覚えた。
仕事中、ちょっとしたことで沢井さんと目が合う。
自然と自分の顔から笑みがこぼれるのが分かった。
彼女は戸惑ったようにうつむく。
……何やってんだ、オレ。
そう自分に問いながらも、また目が合うと、僕は静かに微笑んだ。