三日月の雫
バックルームに入ると、更衣室のカーテンが閉められていて、中からゴソゴソと音がしていた。
僕はイスに座り、タバコに火を点ける。
ふうっと吐き出した煙がゆらゆらと揺れ、それをぼんやりと眺めていた。
――ザッ……
勢いよく、更衣室のカーテンが開く。
その音につられて、僕は振り返った。
着替え終えた沢井さんが、ビックリしたような顔で立ちすくんでいた。
きっと、ここに僕がいることなど知りもしなかったんだろう。
固まっている彼女に、僕は微笑んだ。
「お、お疲れさまでした」
ぎくしゃくしながら挨拶をする。
そんな彼女を見て、僕はそんなにも怖いヤツに見えるのか?と思う。
「……何歳?」