三日月の雫
「永ちゃーんっ。お誕生日おめでとうっ!」
不安定な気持ちを抱えたまま家に帰りつくと、かんなが大はしゃぎで僕を迎えた。
おめでとうと言われ、初めて今日が自分の誕生日だったことに気付く。
「あー。でも、0時過ぎちゃってる」
ブツブツ言いながら、かんなが慎重に冷蔵庫からケーキを取り出す。
10月5日。
22歳の誕生日。
「あっ…」
「どうしたの?」
沢井さんに21歳だと言ったことを思い出す。
「いや、なんでもないよ」