三日月の雫
「あ、結崎さん。お疲れさまでしたー」
帰ろうとすると、休憩に入る村岡がやってくる。
「ビデオ借りたんっすか?」
ビデオ屋の袋を抱える僕を見て村岡が指さす。
「あぁ。これから返しに行こうと思って」
「……エロビデオ?」
ニヤニヤしながら聞く村岡の頭を、ビデオテープの入った袋で軽く殴る。
「違うよ。フツーのビデオ」
「何借りたんっすか?」
殴られたところを大げさに手で押さえる村岡が聞く。
「逃亡者」
「うわっ、なつかしー!今日が返却日ですか?」