三日月の雫
「どうしたんっすか?」
「あぁ、いや、どこに座ろうかと思って」
村岡がキョロキョロ見渡して、すでにでき上がってしまっている大学生連中のところに僕を連れて行った。
「結崎さんだー!」
飲み会が始まって、まだ一時間も経っていないのに泥酔している。
よほどのハイペースで飲んだんだろう。
連中のうちの一人は僕とシフトが一緒になることが一番多いヤツだった。
「オレねぇ、もうすぐ辞めるんですよ」
「へぇ、そうなんだ」
「なんつーか、深夜勤務ばっかりで女の子との触れ合いが全然なかったっすね」
「……柳さんがいただろう?」
「あー、アレは別!女じゃないっすよ」
酔っ払いのグチが延々と続く。
僕は半分だけ聞いて、半分は聞き流していた。