三日月の雫
「こんばんは」
そんな笑顔に釣られて、僕もつい笑みがこぼれる。
「結崎さーん!」
「!!」
泥酔状態の沢井さんが、僕の名を叫びながら抱きついてきた。
「ごめんねー。この子、酔ってるみたいだから」
「いいよいいよ、酔っ払いの扱いは慣れてるから」
「本当ですか?じゃ、お願いしちゃお!」
柳さんと冷静に話す僕。
余裕すら見せていたけれど、心臓はとんでもないことになっていた。
バクバクと鳴り続ける不規則な鼓動。
今、僕の胸の中にいる彼女はおろか、この場にいるみんなにその音が聞こえるんじゃないかと思うほどだった。