三日月の雫
「あ、店の外に…いますけど」
僕は我を忘れて店の外へと走った。
柳さんも僕の後を追って出てくる。
「沢井さん」
店の外には、不安そうな顔で柳さんを待つ柚羽の姿があった。
僕が声をかけると、彼女の不安はますます大きくなったのか、泣きそうな顔になっていった。
「鍵、なくしたって?」
「……はい」
声をかけると、柚羽は僕の顔から目をそらして、うつむき、小さく返事した。
柳さんが「店の中を探そう」と、柚羽の手を引っ張った。
「あぁ、柳さん。オレ、車だし、カラオケボックスの方に行ってみるよ」