三日月の雫
柳さんの行動を制止するように僕が言うと、柚羽は慌てて言った。
「いいです!大丈夫です!」
巻き込ませないようとしているのか。
困っているのに、なぜ、僕に頼ってくれないのか。
「いいから。どんな鍵か柚羽ちゃんしか知らないから一緒に行こう」
僕は強引な言葉とは逆に、静かな口調でそう言った。
それを聞いた柳さんは「いいんですか?」と言って、手を振りほどく。
僕は無言で頷いた。
柚羽の意見など聞き入れられず、柳さんは店、僕は柚羽を連れてカラオケボックスと二手に分かれることになった。
車に乗り込んでから、柚羽は口を閉ざし続け、ただ、うつむいているだけだった。
関係の無い僕が出てきたことに、何かしら複雑な思いを抱えているような様子だった。
「今日は楽しかったね」