三日月の雫
・好き・
店に戻ると柳さんが外で待っていた。
僕の車を見るなり、柳さんは駆け寄ってきた。
落ち込む柚羽を、僕と柳さん二人して慰めるものの、彼女の顔つきは曇ったままだった。
カラオケでの彼女の笑顔が浮かぶ。
僕は何が何でも、彼女の鍵を見つけて、また笑ってほしいと思うようになった。
「オレ、明日は学校もバイトも休みだから、後のことは任せて」
明日は何の予定もないから、遅くなっても大丈夫だと僕は言った。
もちろん、嘘も方便ってやつだ。
明日はバイトは休みだけど、朝イチから授業がある。
しかもその授業で模擬試験をする予定になっていた。
僕の言葉に柳さんと柚羽が反応し、振り返る。
柳さんは勘の良い子で、すぐに、僕が柚羽と二人でこの後も鍵を探すことを理解した。