三日月の雫
でも、当の本人は理解できていないのか、きょとんとしていた。
僕と柳さんの間で話がまとまり、
「柚羽ちゃん、乗って?」
僕が車に乗るように促しても、納得いかない表情だった。
柚羽が渋々と助手席に乗った瞬間に、携帯がまた、鳴る。
【かんな】
僕は無視した。
そして、電話が切れるのを待って電源をオフにした。
心の中で生まれる罪悪感。
目の前にいる、僕の大好きな人。
僕は自分の気持ちを最優先して、大きくなりつつある罪悪感までも無視してしまった。