三日月の雫
「……?なに?」



僕のぎこちない動作を見たかんながズボンに手を伸ばす。



「いや、なんでもないよ」



見られたらやばいと、僕はかんなを抱きしめた。



「永ちゃん…」



かんなの手がズボンから離れていく。

ごまかすための抱擁。

僕はそのままかんなを浴室へと連れて行った。



睡魔と闘いながらも受けた模擬試験の結果は散々なものだった。

担当の講師からは「このままじゃ無理だぞ」と烙印を押され。


家に帰って勉強するにも、目の付くところには常にかんながいる。


「勉強するから1人にしてほしい」

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