三日月の雫
・カウントダウン・
専門学校に退学届けを出すと同時に、僕はバイトを今月いっぱいで辞めることを店長に話した。
店長は、就職が理由ならと渋々了解した。
バイトを辞めるまでの僅かな日々。
僕はただのフリーターという身分だった。
僕が今月いっぱいで辞めるという話はあっという間に、全員に伝わった。
きっと、柚羽も柳さんか誰かを通して耳にしているだろう。
辞めるまでの数週間のシフトを見ると、柚羽と同じシフトは見事なまでになかった。
最終日にいたっては、柚羽は公休となっていた。
すべてがうまくいくわけがない。
僕はシフトを前に深く溜息をつく。
「………?」
ふと、シフト表の近くにあるコルクボードに目がいく。
そこには店長宛のメモが貼られていて、電話番号が書いてある。
それは、柚羽の携帯の番号だった。