三日月の雫
かんながカギを見つけた後、どうしたっけ…?
記憶を辿るものの、あの日、機嫌の良かったかんなの存在が大きすぎて、記憶はプッツリと切り取られたようになっていた。
カギも見つからない。
柚羽に対して、自分の気持ちを伝えることもできない。
そんな状況の中で、最後の日を迎える。
――ブルルッ、ブルルッ……
前の会社に復帰するまで、昼間は暇を持て余すだけの時間になっていた。
ベッドに寝転がり、ぼんやりと天井を眺めていると、携帯が鳴る。
「もしもし?」
『あっ、結崎さん?』
相手は、伊織だった。
『すみません、今日、ミドルで入ってもらえませんか?昨日の夜から熱が下がらなくて』