三日月の雫
「あぁ、昼頃、オレの携帯に電話があって、昨日の夜から熱があって代わりに出て欲しいって」

「あ、熱…。あー、あたしは、志穂ちゃんがサークルが長引きそうだからって、代わりに……」



柚羽の話を聞いて、僕は本当に偶然なのか?と思った。

伊織と志穂ちゃんが仕組んだんじゃないかと疑ってしまった。



「まぁ、とりあえず着替えたら?」

「は、はいっ」



僕がそう言うと、柚羽は逃げ込むようにしてロッカーへ行き、カーテンを閉めた。



先に店に入った僕の後を追うようにして、柚羽は慌てて出てきた。

柚羽と一緒に働くのは2回目。

しかもそれが最後の日だなんて皮肉だ。



「ありがとうございます。…いらっしゃいませ」



もっと皮肉なのは、普段は暇なクセに、今日に限って忙しいということ。

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