三日月の雫
滅多に申し込みのないギフト商品の受付。

僕は断ることもできず、教える。



「――あぁ、なるほど。そうすればいいんだ!」



彼が納得するのと同時に、柚羽が「お疲れ様でした」と言って店を出て行った。

あまりにも思い通りにいかない現実に、僕は呆れ果てて笑ってしまった。



―――でも。

すべてが非情ではないってことを、一本の電話が教えてくれた。



「……柳さん?」

『今日、23時まででしょう?柚羽のアパートで送別会するから絶対、来てください!』



送別会をするという柳さんからの電話。

しかも、柚羽のアパートだった。



「うん、ありがとう。終わったら行くよ」

『えっ?本当?ありがとうございますー』

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