三日月の雫
夫婦漫才のような光景が繰り広げられる。

僕も柚羽も、そんな2人を見て自然と笑みがこぼれた。




「村岡もかなり飲んだなぁ」



柳さんによって、村岡は強制退場させられた。

村岡を送ったらまた戻ってくると言い残して、柳さんは一緒に出て行った。

けれど、なんとなく2人がもう戻ってこないような気がしていた。



「タバコ、吸ってもいいですよ」



村岡が飲み干したと思われる、大量の酒の空缶を片付けた後。

柚羽はそのうちの1つを灰皿用として僕に差し出す。



「今日は話す暇もなかったね」



タバコを一口吸って、僕は口を開いた。

久しぶりの会話。



「忙しかったから」

< 85 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop