三日月の雫
そう答える柚羽の声は、心なしか震えているような気がした。

僕を真っ直ぐに見て話す彼女の姿。

酒に酔っているような様子はない。


初めて会った時のような緊張感はなくて。

逆に、カラオケの時のような弾けた雰囲気でもなくて。

ちょうどいい空気が、僕たちの間に流れていた。



「カラオケの時……、すみませんでした。迷惑かけたうえに、変な事言っちゃって」



すまなそうに、柚羽があの日のことを口にする。

変な事……。

僕を好きだと言ったことだ。


これっぽっちも、変だなんて思っていない。

こうして、かんなに嘘をついてまで会いに来た。

いっそのこと、僕の気持ちも伝えてしまおうか……。



『イヤよ――!』


悲痛な叫び。

滴り落ちる、真っ赤な血。

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