ラビリンスの回廊
第三章
サイテイ
パチンッ──
焚き火で小枝のはぜる音がした。
なんとなく持ち上がっていた意識を、それによって一瞬にして掴んだ玲奈は、そっと目を開けた。
どのくらい寝たのかはわからないが、体の疲れはだいぶ楽になっていた。
まだ世は明けきらず、辺りは静まりかえっている。
話し声すら聞こえないのは、交代で睡眠をとっているからだろう。
体を起こすと起きたことに気付かれると思い、ゆっくりと頭だけ動かし、辺りを見渡した。
火を囲み、黙りこくった背中が見える。
ずっと起きているのか、交代で起きたのかは定かではないが、ルクトとエマが起きていた。
エマが起きているなら、自分一人が寝ているわけにはいかない。
そう思った玲奈は、体を起こして二人のいるところへと向かった。
「あれ?起こしちゃった?」
真っ先に気付いたのはルクトで、玲奈は軽く首を振った。
背後から向かったのに気付かれたことに驚いたが、エマもそうだったことを思い出した。
兄妹して後ろにセンサーがついているのかとぼやく。
「どうしたの?」
いたずらが見つかったような顔で、ルクトがそう言った。