ラビリンスの回廊


ホントウニ……?


『紅玉』という言葉をふと口にしてしまい、イシュトたちに聞き咎められたのも。


同行することになったのも。


この魔峰を越えることになったのも。


全て、さだめられた運命だった……?


青ざめ、エマを凝視する玲奈。


エマは、玲奈の取り乱した様子にどうにかするわけでもなく、淡々と言葉を囁いた。


「ええ、レイナ様はご自分の思うように動いていらっしゃったはずです。

私たちの世界を否定する存在として。

しかしそれは『大いなる流れ』が求めていたものであり、

そのためにレイナ様が世界に呼ばれ……」


「エマ!!」


ルクトの叱責に、エマはうわ言のように連ねていた言葉をハッと取り止めた。


エマの目に飛び込んで来たのは、

表情を無くし、青白い顔をした玲奈だった。


怒りも悲しみもなく、そこにあるのは『無』。


「あたし……なんでここ来たんだろ。

なんであんたらといるんだろ。

人を殺すのが許されんのがヘンと思うのも、決められてたのか?


イシュトに借りを返さねぇとって思ったのも?


全部?

全部なのか??」


「レイナちゃん……」


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