ラビリンスの回廊


部屋に入ると、ベッドが2つと質素なタンスが一つ、同じく質素な机と椅子が一組、ただそれだけだった。


あつらえたかのように全てが同じ材質で、統一感はあるものの、まるでホテルのような佇まいに、玲奈はまた落ち着かなくなる。


とりあえず荷物をタンスの手前に置くと、ドアをノックする音がして、食事だと告げられた。


ドアに鍵はかからないが、特に大切なものが入っているわけでもないので、扉だけ閉めて食堂へと向かう。


既に皆が揃っていて、最後にルノが椅子に腰かけると、食事の時間が始まった。


村長が作ったのかと思いきや、食事の支度は近くの村人がやってくれたらしい。


酒も振る舞われ、ちょっとした宴会のようであった。


ただ宴会にしては静かで、淡々と食事が進む。


一行に早く馴染むためか、ルノはせわしなく酌をしていた。


< 159 / 263 >

この作品をシェア

pagetop