ラビリンスの回廊
部屋に入ると、ベッドが2つと質素なタンスが一つ、同じく質素な机と椅子が一組、ただそれだけだった。
あつらえたかのように全てが同じ材質で、統一感はあるものの、まるでホテルのような佇まいに、玲奈はまた落ち着かなくなる。
とりあえず荷物をタンスの手前に置くと、ドアをノックする音がして、食事だと告げられた。
ドアに鍵はかからないが、特に大切なものが入っているわけでもないので、扉だけ閉めて食堂へと向かう。
既に皆が揃っていて、最後にルノが椅子に腰かけると、食事の時間が始まった。
村長が作ったのかと思いきや、食事の支度は近くの村人がやってくれたらしい。
酒も振る舞われ、ちょっとした宴会のようであった。
ただ宴会にしては静かで、淡々と食事が進む。
一行に早く馴染むためか、ルノはせわしなく酌をしていた。