ラビリンスの回廊


部屋に残ったイシュトが灯りをつけようとすると、それをやんわりと止める白い手があった。


「何の用だ?ルノ」


その言葉が聞こえなかったように、否、応えるかのように、ルノはゆっくりとイシュトの手に唇を寄せる。


探るようにルノを見たイシュトに、ルノは小さく笑った。


「凶器などは持ってないですよ。なんなら触って確かめてみます?」


そう言ってイシュトの手を、自分の腰へと導く。


「それとも服を脱ぎましょうか」


色香を振り撒くような笑いに、イシュトは持っていた剣を置いた。


「イシュト様……」


ルノはイシュトの片手を持ち上げ、指を丁寧に舌で絡めとり、妖しく囁いた。


そのままベッドへ片膝をかけ、ギシリとしなったその場所から、ゆっくりとイシュトに向かって体を傾ける。


上半身を起こしているイシュトの肩に手をかけ、しなだるように身を寄せた。


ルノの脇に置いていたイシュトの手は、自然と背中側の腰へと滑る。


それをルノは妖艶な笑みで受け入れた。



< 161 / 263 >

この作品をシェア

pagetop