ラビリンスの回廊
部屋に残ったイシュトが灯りをつけようとすると、それをやんわりと止める白い手があった。
「何の用だ?ルノ」
その言葉が聞こえなかったように、否、応えるかのように、ルノはゆっくりとイシュトの手に唇を寄せる。
探るようにルノを見たイシュトに、ルノは小さく笑った。
「凶器などは持ってないですよ。なんなら触って確かめてみます?」
そう言ってイシュトの手を、自分の腰へと導く。
「それとも服を脱ぎましょうか」
色香を振り撒くような笑いに、イシュトは持っていた剣を置いた。
「イシュト様……」
ルノはイシュトの片手を持ち上げ、指を丁寧に舌で絡めとり、妖しく囁いた。
そのままベッドへ片膝をかけ、ギシリとしなったその場所から、ゆっくりとイシュトに向かって体を傾ける。
上半身を起こしているイシュトの肩に手をかけ、しなだるように身を寄せた。
ルノの脇に置いていたイシュトの手は、自然と背中側の腰へと滑る。
それをルノは妖艶な笑みで受け入れた。