ラビリンスの回廊


ルクトの言葉に応えるように口を開いたのは、村長を名乗った男でもルノでもなく、ヴァンだった。


「にわか集落を作るなんて回りくどいことをしてでも、手荒なマネをするわけにいかなかった、ということですね」


正確にはルクトの言葉に応えたというよりも、ルクトの言葉を補足するようにして、よりルノらが答えるように仕向けた、が近い。


「それとも、気付くのを前提とし、ここからが本題である……ということでしょうか?」


ムスッとした玲奈の顔が、ヴァンの言葉にポカンとする。


そして苦虫を噛み潰したかのような表情へと変わり、「また何か面倒くさい事言ってる……」と呟いた。


ルクトが黙っているので、解説は頼めないようだと判断し、何の気なしにエマを見た。


エマは玲奈の視線に気付かず、じっとルノたちを見つめている。


玲奈もつられてそちらを見ると、ルノが仕方ないと言うように溜め息をついた。


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