ラビリンスの回廊


「ルクトさん」


やんわりとヴァンが会話に割って入る。


「イシュトさ……イシュトも。

そのくらいにして下さい」


はいはい、と肩をすくめたルクトに、怒りもあらわにしながらワザとらしく顔を背けたイシュト。


玲奈はそんな二人を見て、エマ越しにヴァンを呼んだ。


「ヴァン。

あいつら、さっきから何の話してんの?

ルノがどうかした?」


この状況でルクトに訊いても、はぐらかされそうだと思ってヴァンに訊いたのだが。


素朴な疑問をぶつけただけなのに、ヴァンは虚を突かれた顔をした。


「え、あたし何かヘンなこと言った?」


「いえ……」


そこで口をつぐんでしまったヴァンに、玲奈はなおも食い下がろうとしたが、相手のほうが一枚上手だった。


「レイナさんが気にやむような事は何一つありませんよ」


とどめとばかりに微笑まれ、玲奈は悪寒に震える。


「そ、そっか」


ヴァンの微笑みにより、それ以上追及する気力は根こそぎ凍りついた。


< 182 / 263 >

この作品をシェア

pagetop