ラビリンスの回廊
セカンド
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ドン、と床を踏み鳴らす音が響いた。
苛立ちを露わにして声を荒げているのは、ブラウ王国の玉座に座る者。
彼の目前には、片膝をついてこうべを下げている者がいた。
戦神と讃えられ畏れられたオーウェンを、卑劣な手段で打ち取った男だ。
しかし本来の任務を遂行出来ずじまいで戻った彼には、労いの言葉の代わりに、怒声が叩きつけられていた。
「ええい、どいつもこいつも、役立たずが!!」
王は彼に、既に一刻ほど、罵声を浴びせ続けていた。
まだまだ張った声を上げているが、言葉は一通り出尽くし、何度も同じ言葉を繰り返している。
男は反論もせず、黙って下を向いていた。
申し訳ございません、とだけ、ポツリポツリと口にして、あとは口を閉ざしている。
激昂していた王も、さすがに喉が枯れては文句を言い続けることは出来ず、憤慨したまま立ち上がって謁見の間を出て行ってしまった。