ラビリンスの回廊
第四章
痛痒
ルノがどれだけ健脚であろうとも、ブラウの中枢からダンブディア魔峰までは、かなりの時間を擁した。同じだけかけるつもりはなくとも、そんなに短縮出来るとは思えない。
それでもルノは、変幻の差が激しい気候をものともせず、無謀で強引な勢いにより敢行した。
常に動いているからか、食欲が湧かないのをいいことに、食事の回数も減らし、睡眠も最低限ギリギリまで切り詰める。
元々食料を持参しておらず、道々で調達するといっても木の実ばかり。咀嚼すら時間が勿体無いと、必要最低限なものだけを流し込むだけ。
王宮へ速く辿り着ければ、それだけイシュトたちが先へ行ける可能性が上がる。
もはや気力だけで進んでいた。
そしてついにダンブディアの魔峰を離れ、ブラウ王国へと入った。