ラビリンスの回廊
張り詰めた緊張感を携えて、ルノは王宮内へと入り込んだ。
いざという時のために、何ヶ所かへ使用人や兵士の服を一揃え用意してある。まずはそこへ向かうとする。
使用人他の服を、その役に直接関係のないものが余分に持つなど、前王の頃なら考えもつかないことだった。
把握されていない数の服があるとなれば、余所者が入り込み服を着られてしまったときに気づきにくい。
日頃気にもとめない使用人の顔など、はっきりしないこともあるだろう。だからこそ制服は厳重に管理されていた。
しかし幸か不幸か、今のブラウ王は杜撰で、管理なんてまったくしていなかった。
顔までもを覚えていないだろうし、制服を着ただけで誰しもが同じに見えることだろう。
何はともあれ、着替えるのが先決だ。
ルノは着替え始めた。