ラビリンスの回廊
「じゃあその優秀な案内人さんは、最後まできっちりと案内して下さいね」
ヴァンがにっこりとルクトに微笑みかけると、ルクトはあっけらかんと言い返した。
「悪いけど、イシュトくんたちとはここまでだよ」
「なに?」
ルクトの発言に、イシュトが一寸止まる。
玲奈も同じだった。
ここまで来て。
あと少しというところで、ルクトは何を言い出すのかと。
ヴァンは想定していたのか、微笑みを浮かべたまま、冷静な態度でルクトを見つめる。
「ここから先は早い者勝ち、ということでしょうか」
「さっすがヴァンくんは話がはやいねー。わかっててカマかけたんでしょ、いま」
「え、ちょっと……」
ルクトとヴァンを交互にみやる玲奈を遮り、ヴァンが笑みを濃くする。