ラビリンスの回廊


「じゃあその優秀な案内人さんは、最後まできっちりと案内して下さいね」


ヴァンがにっこりとルクトに微笑みかけると、ルクトはあっけらかんと言い返した。


「悪いけど、イシュトくんたちとはここまでだよ」


「なに?」


ルクトの発言に、イシュトが一寸止まる。


玲奈も同じだった。


ここまで来て。
あと少しというところで、ルクトは何を言い出すのかと。


ヴァンは想定していたのか、微笑みを浮かべたまま、冷静な態度でルクトを見つめる。


「ここから先は早い者勝ち、ということでしょうか」


「さっすがヴァンくんは話がはやいねー。わかっててカマかけたんでしょ、いま」


「え、ちょっと……」


ルクトとヴァンを交互にみやる玲奈を遮り、ヴァンが笑みを濃くする。


< 239 / 263 >

この作品をシェア

pagetop