ラビリンスの回廊
「はぁ!?
っんだよ、それ!
あたしに死ねってーの!?
っざけんな!」
一気に血がのぼった玲奈はそう言い放ち、エマを押し退けて扉に向かった。
扉に触れようとしたその時、玲奈に向かってエマが手を伸ばした。
「離せよっ」
そう言って振りほどこうとした玲奈に、「ただ一つ」とエマの声が耳に入る。
「願い事を叶えると言われている『紅玉』があれば……」
「るせっ
あたしには関係ないねっ!」
そう返し、再び扉に手を掛けた玲奈に、ぼそりとエマが呟く。
「『紅玉』があれば、ニホンに帰れるのではないですか?」
帰る……?
日本に……?
その言葉が耳から脳に伝わり、意味が理解出来た頃、ようやっと玲奈はエマに向き直った。
「命が惜しけりゃ、その『紅玉』をとってこいってワケ。
で、ついでに日本に帰れると。
……上等」
玲奈は口元にうっすらと笑みを浮かべ、腕を組んだ。