ラビリンスの回廊
「しかしルサロアがいないと、我々の願いは伝えられない……そうでしょう?」
「まぁ、そうなるね」
「ならば彼女を渡すわけにはいきませんね」
「エマ!」
ヴァンが一瞬のうちにエマの腕をひき、自らの背後へ回した。
ルクトとヴァンの間には玲奈が立ち、エマはヴァンとイシュトの間に立たされた格好だ。
「あなたがたには申し訳ありませんが、我々の願いをアレにきき届けられたら、お返ししますよ」
「エマ……!
ねぇ、みんなで行けばいいじゃん!
ここまで来たみたいに、一緒でいいじゃんか!!」
つかみかかる勢いで、玲奈がルクトに詰め寄る。
押し黙ったルクトに、全員の目が注がれていた。
視線はそちらにありながら、ヴァンが玲奈へ静かに告げる。
「だめなんですよ」
「なんで……」
弾かれたようにヴァンを見る玲奈に、ヴァンは言った。
「レイナさん。あなたがいくら懇願したところで、我々の同行は認められないんです」