ラビリンスの回廊
「だから、一緒に行けばいいじゃねぇか!」
「それはかなわぬと言った筈です」
「なんでだよ!」
「言えるなら、剣を抜いたりはしていませんよ」
「ヴァン!!」
ルクトが制止を込めて名を呼んだことに、玲奈は気付いた。
ルクトとヴァンは、エマを取り合っていると見せかけて、何か違うことを賭けて剣を抜いているのかもしれない、と。
それは多分、同行するしないというのとも、また少し違うものである気がした。
ここにきて、まだ彼らとの間に垣根があるのかと思うと、たまらなかった。
所詮、住む世界が違う。目的が違う。生きかたが違う。
それでも、この旅で、少しは互いに通じたものがあると思ったのに。
それは仮初めのものだったのだと、まざまざと見せつけられた気がして。
「なんなんだよ……あんたらいっつもそうだ……
あたしにはわかんないって思ってんの?
あたしには説明してもどうせわかんないって?
言わなきゃ気付かないって?
わかんねぇよ!
わかんねぇけど、それが説明しなくていい理由にはならねぇだろう!!」