ラビリンスの回廊
ルクトたちは、ハルミと玲奈の態度を見比べていたが、二人の間の因縁を改めて嗅ぎ取り、黙って二人を見つめていた。
「でもまあ、あたしはいま機嫌がいいんだ」
ハルミが口角をあげる。
「あんたに復讐出来るから」
復讐という響きが、かたちを持って、ねっとりと玲奈に絡みつこうとしているようだった。
「突然目の前から消えたからね、薄気味悪いと思ってたけど、もうどうだっていいや」
ハルミは服――玲奈たちの世界の服――の上着ポケットから、きらりと光る球体を取り出した。
ハルミの手にすっぽりとおさまる程度の大きさで、紅の光を放っている。
少し持ち上げるようにして、かざした。
「あんた、これ探してるんだって?」