ラビリンスの回廊
ファーストコンタクト
翌日。
玲奈は結局、昨夜はエマに言われるがまま、話のあとに食事をとり、ベッドへ横になったらすぐさま寝てしまった。
ノックの音で目覚めた玲奈は、エマが入ってくるまで一瞬自分がどこにいるのかわからなかった。
エマの顔を見て、昨日のことを思い出す。
カラカラと軽快な音を立てて、食事を載せたワゴンを運ぶエマ。
少し固めのパンのようなものと、水、それから小さなフルーツの盛り合わせ。
少しうんざりした顔で、玲奈はエマに向かって声を掛けた。
「なぁ……昨日から思ってたんだけどさ……
あんたらみんな、こんなもん食ってんの?」
そう言いながら、パンをちぎって口へ放り込む。
その様子を、エマは傍らに立ちながら、チラリと横目で見やった。
「禊ですから」
「みそぎ……?」
眉をひそめる玲奈に、「身を浄めるためです」と言い直す。
わかったようなわからないような顔をしながら、玲奈はパンを噛みちぎった。