ラビリンスの回廊


「許さねぇって、言ったんだ」


声を荒げる玲奈を見て、ハルミが口角を上げた。


「それはこっちのセリフ。でも、あんた、そーゆー顔出来んじゃん。

いつもすましてお高くとまってたから、ほんっとムカついてたんだよ。

イケメンが嫌いだぁ?
そのくせひとの男に色目使いやがって……ざけてんじゃねぇぞ」


口元の笑みは徐々に消え、顔を歪ませつつ、ハルミは憎々しげに吐き捨てる。


「あたしはあんたの男なんか知らないって言ってんだろ。

だいたい、それがムカつくってんなら、あたしを直接ボコればいいだろ!

こいつらの大事なモン、壊しやがって……!」


「ハッあんたいつからそんな真面目なユートーセーになったわけ?

つーかそれ壊せばあんたが困るってはきいたけど、誰かの大事なモンとか、知らねーし。あたしに関係ねーし。

あたしはあんたが困ればいいの。いまみたいに。

くくっマジケッサクー」


「っざけんな!」


ハルミのぞんざいな言葉で、怒りが最高潮に達し、飛びかかろうとした玲奈を、ルクトが前に体を滑らせて、止めた。


「レイナちゃん……!」


「どけ!」


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