ラビリンスの回廊


イシュトの言葉に、真っ先に賛同したのはハルミだった。


「いいよ、教えてやるよ。そいつがなにをしたのか」


軽く頷き、イシュトたちの顔を順番に見やる。


「あたしさぁ、ちょうどムカついてたし。

なんか集まってんじゃん、玲奈の周りにさ。

どうやって取り入ったのか知らねぇけど、こんなやつゲンメツされればいいんだよ」


一方で玲奈も、異論はないとイシュトに伝えた。


朱龍に囲まれ、ハルミに絡まれたときは、面倒ゆえに理由を知ろうとも思わなかったし、それをきいて弁明をはかる気もサラサラなかった。


だが、あのときハルミに、なんのことかと確かめていれば、紅玉は壊されなかったかもしれない。


そう思うと、今更遅いかもしれないが、ハルミと話し合っておくべきだと感じた。


玲奈が聞く姿勢でいるのを見てとったルクトが、横に数歩分、そっと避ける。


玲奈かハルミが逆上してもう一方に襲いかかったとき、直ぐにからだを割り込ませられる位置。それでいてハルミも玲奈も互いの顔表情が読みとれる場所だ。


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