ラビリンスの回廊
「げ」
さすがに二人目の登場には、玲奈は思わずそんな声を発してしまった。
年は17.8くらいだろうか。
うすい琥珀色の髪は、光に当たるとキラキラと金がかったきらめきを放ち、紫青色の瞳は真っ直ぐに玲奈をとらえている。
すっと通った鼻梁は高く、口元は意志の強さをよく表していた。
穏やかそうな先の人物と違い、こちらは少々わがままそうに見える、というのがエマとルクトの見解だったのだが、玲奈は違った。
正確に言えば、玲奈にはそんなことは関係なかった。
逃げ腰の玲奈に、ふふん、と鼻で笑うと、彼は言った。
「ヴァン、お前の聞き方は甘いんだ」
銀髪の男に向かってそう言ったと思うと、男はエマの脇をすり抜ける。
「俺様が優しく尋ねてやってる間に、『紅玉』の知ってること、洗いざらい喋れ。さもないと……」
チキッ、と剣が抜かれる音がした。
「さもないと、が何かわからんけど、それ以上近付いたら、容赦しねぇよ?」
剣を抜いたのはルクトで、切っ先は男の喉元に向けられていた。