ラビリンスの回廊
王子
「単刀直入に申し上げましょう。
シェル王国は狙われています」
その言葉に、エマがぴくんと体を震わせた。
ルクトは胡散臭そうにヴァンを見つめる。
その視線を受け止めながら、ヴァンは言葉を続けた。
「狙っているのは、ブラウ王国。
我々の住む王国です」
「……なんで?」
低い声で尋ねたのはルクト。
エマは静かに続きを待ち、玲奈はよくわからないながらも緊張の面持ちで話をきいていた。
「何故?愚問ですね。
豊富な資源、豊かな土地……今まで欲しがらなかったのが不思議なくらいです。
欲張りなのですよ、我が王は。
それに……」
よどみなく喋っていたヴァンが、そっと玲奈を見た。
「……王国が危機になると、ルサロアの預言があり、王国に『光』をもたらす……
聞けば、『光』とは高貴な乙女だそうですね」
ヴァンの視線を睨み返しながら、玲奈はぎゅっと歯に力を込めた。
「我が王は、全てを手に入れるために、戦争をおこそうとしているのです」
玲奈を見つめ続けるヴァンの気をそらすように、エマが口を開いた。
「そのことと『紅玉』とどのような関係が?」