ラビリンスの回廊
ハルミは薄ら笑いを浮かべ、玲奈に向かって言った。
「玲奈ぁ。あんた、男嫌いなんだってぇ?
レディースの頭を張れる実力のあるあんたが、なんで一匹狼を気取ってるか不思議だったけど。
トーゼンだよね。
男嫌いがバレたら下のモンにナメられるもんねぇ?
あはは、おっかしー。
男に触られると気絶するって本当?
本当かどうかはすぐわかるけどさっ!」
完全に優位に立ったと思っているハルミは、先程赤い女に止められた腹いせをするかのように、一気に玲奈に言葉をぶつけた。
「……ずいぶん口が回るじゃん」
玲奈はハルミの言葉に、冷静な声で挑発を返す。
ハルミの口元から、ギリ、という歯が擦れた音がした。
「あんた、自分の立場わかってる?
今ならアタシに謝れば許してあげるよ。
許して欲しかったら、そら、アタシの靴でも舐めなよ」
そう言ってハルミは玲奈の前に立ち、片足を軽く持ち上げてアゴで差し示した。