ラビリンスの回廊
そう言った玲奈に、一行の視線が集まった。
それを跳ね返すように、ジロリと一瞥する。
「あんたら、おかしいよ」
玲奈は今まで、自分が納得出来ないことは、押し付けられても守らなかった。
金髪やなんやが校則違反とわかっていても。
だから、ヤンキーと言われてきたし、それで良いと思っていた。
そんな自分が、絶対におかしいと思う『人殺し』。
本当に、殺すしかなかったのか?
そしてそれはこの世界では当たり前のことなのか?
「有り得ねぇ」
吐き捨てた玲奈に、ルクトは表情はそのままに尋ねた。
「なにが?」
「殺す必要、あったのかよ?
追ってくるかもとかいうんなら、足を折ればいいじゃん?
命まで……」
「あぁ、人があんな風に死ぬの、初めて?
だから具合悪そうだったんだ?」
合点がいった、という顔のルクトに、玲奈は「はぐらかすなよ」とかみついた。
「はぐらかしたつもりはないけどね。
レイナちゃんたちを守るためだったんだけどなぁ……」
どくん、と玲奈の心臓に何かが打ち込まれたようだった。
「守る……ため?」