ラビリンスの回廊
「ランドクルの実を見つけて下さったじゃないですか。
なかなか素人が見つけられるものではないですよ」
その言葉に多少気を良くしたのか、「……そうか。よし、戻るぞ」と言いながら反転し、玲奈達の待つ方向へ歩き出した。
ヴァンは笑いを噛み殺しながら、その後ろをついていった。
「おかえり~」
笑顔で出迎えたのはルクトだけで、エマと玲奈は無表情と仏頂面だった。
「お、ランドクルの実じゃないの。
俺、大好きなんだよね~」
ルクトはヴァンから一個掴み取り、ひとくちかじって玲奈に投げた。
「おい……っ」
いきなりのことで落としそうになったのを、慌ててバランスをとり、手におさめる。
「おいしーよ?」
何事もなかったかのようににこっと笑ったルクトを睨み付け、玲奈はルクトがかじった逆側から恐る恐るひとくちかじった。
見た目はマンゴーみたいだ、と思い、固そうに感じたが意外にすぐに歯を立てることが出来た。
味も食感もりんごのそれで、玲奈はシャクシャクとしたそれを思い切りかじりとった。