ラビリンスの回廊
ふうん、と目を細めたイシュトだったが、そこから剣呑な光は消えていない。
ルクトがいとこだからという理由には納得していないようだったが、自分がまだ信頼されるほどでないということは承知しているようで。
それ以上何も言わず、玲奈から視線を外した。
ルクトは誰にも気付かれないようにこっそり息を吐き、エマは静かに目を瞬かせた。
イシュトたちに玲奈たちの関係が明らかに不自然に思われているのはわかっていたが、まさか毒味をしたとは思っていないようだ。
そのことに兄妹は胸を撫で下ろしたのだった。
ランドクルの実と僅かな食料を腹におさめた玲奈は、意外にお腹いっぱいになったことに驚く。
どうやらランドクルの実は、入手も食すのもリンゴのような手軽さなのにも関わらず、腹持ちが良さそうだ。
一行は腹もくちくなったところで、これからの道程を検討することにした。
石を使い、エマがてきぱきと『紅玉』の在処までのざっくりとした地図を地面に描く。