ラビリンスの回廊
「ここが今いる村で……
ここがツィーバという街です」
山脈のようなものをザカザカと描き、手前の麓にあたる部分に前者を。
山脈を挟んだ向こう側に後者をそれぞれ描き入れた。
「ここからだと慣れた者で約4、5日。
私達なら約1日は多くかかると見た方が良いでしょう。
こことツィーバの間には、ダンブディアの魔峰と呼ばれる山脈があります。
それを越えるのが早いはずなんですが……」
描いた山脈を、ぐるりとエマの石が弧を描く。
「……このように、通常は迂回してツィーバに向かうようになります。
ツィーバから『紅玉』まではすぐです。
半日もあれば着くでしょう」
神妙な面持ちで聞く男性陣から少し離れて聞いていた玲奈は、エマにだけ聞こえるよう、小さな声で問い掛けた。
「なんでダン……を行かないんだ?」
エマは周りに気付かれないよう、玲奈に視線も送ることなく地図を見ながら端的に答える。
「このような軽装では無理です」